孤独の空
恐る恐る目を開けてみると、
誰かの制服が見えた。誰・・・?
「・・・大丈夫?」暖かな手が
私を包む。だけど、怖い。怖い。怖い。
「っいや・・・!」バッと離れると
保健室へ逃げ込んだ。「・・・」
誰かが伸ばした手は虚しく宙を掴んだ。

保健室に入ると、独特な薬品の匂いと
温かさが私を取り巻いた。保健の先生、
佐藤先生がPCから目を離して私を見た。
「どしたの?今日はどこ?」佐藤先生は
椅子から立ち上がると、ガーゼや消毒液
を取り出した。「実は・・・・画鋲が、
足の裏に・・・・」「・・・・本当に
たちの悪いことするのね。見せて」
私は足を佐藤先生に見せるとすぐに
治療してもらった。「にしても、
よく耐えられるわね。花ちゃんは辛く
ないの?先生は耐えられないよ」
私、二宮花は中学校、高校とずっと
苛められていた。そのことを
打ち明けているのは佐藤先生と
ネットの世界の友達だけ。どっちも
私を裏切らない。と信じてる。
「私は・・・大丈夫。いつかまた皆と
笑いあえるって信じてるから、大丈夫」
苛められるきっかけなんて、
そこらじゅうに転がってる。ただ私は
運悪く転がってる地雷を踏んでしまって
こうなってるだけ。「そっか・・・。
そんなところが花ちゃんらしいね。
いつでも先生に相談してきてね」
「うん」頷くと鞄からドリルと筆箱を
取り出した。佐藤先生が呆れたように
溜息をつくとフッと笑った。
「勉強する気はあるのね」
「一応ね・・・。夢が、あるから」

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