孤独の空
前なんか見れない。男の人の靴が
視界に入る。ピタリと止まった私達の
時間。先に口を開いたのは男の人
だった。「昨日、覚えてる?電話した
奴なんだけど・・・」覚えていない
訳がない。私だけの時を壊した奴
だから。「覚えてる・・・けど。私は
あ「マジでッ?!よかった~・・・」
私の言葉を遮って喜ぶ男の人。「俺、
一年B組18番斉藤一!二宮の力に
なりにきた!」そういうと私の手を
とってくるくると回りだした。
「なっ、ちょ!やめてよっ」「あっ
わりぃ。近づいちゃ駄目だったよな」
斉藤一という人は手を放すと、少し
シュンとした。なんだか私が悪い
ことをしたみたいな感じがする。
「二宮はどうして保健室通い?」突然
の質問に無表情になる私。「なんで
そんなこと聞くの」私のこの凍てつく
ような声に怯まない人はいなかった
ハズなのに、この人だけはポカンと
した顔。「んー。だっていつもテスト
とかで1位から3位の間なのに、なんで
教室来ないのかなーって思ってさぁ」
悪びれた様子もなく笑う斉藤・・・
面倒だから斉藤って呼ぼう。
「私が「あれ、花ちゃん。今日は
早いねー」私の言葉はまた遮られた。
遮ってきたのは佐藤先生。「先生」
「ん。あら、斉藤君じゃない。
花ちゃんとどうしたの?」先生は
寝起きらしく欠伸をした。宿直だった
のかな。斉藤は慌てて言葉を発そうと
する。「えーっとそのあのっ!
やましいことは何もないんですっ!
俺はただっ「先生。私、斉藤君のこと
気になってて・・・。今日呼び出し
たんです。保健室でゆっくり
話したいので、鍵くれませんか?」
違う声音で思いっきり嘘を吐くと
佐藤先生の目が輝いた。
「そうなの!?ならゆっくりしなさい
な♪今日斉藤君は欠席ってことに
しておくから!鍵とってくるわね」
佐藤先生は小走りに職員室へ行った。
斉藤君は私の変わり様に目を
見開いて驚いている。「え・・・
今の・・・・馬路?」「まじなわけ
ないでしょ」でも話したいのは本当。
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