【2】口内炎バトル
誠治は卓也の真剣な眼差しに圧倒されて、ややこしくなったな、と苦笑いするしかなかった。
「卓也、アホだろ」
少し落ち着いてから、誠治が言った。
「今の僕は、阿呆と言われても、甘んじて受ける」
卓也は襟を正して答えた。
「よく考えてみろよ」
誠治は卓也を睨み返した。卓也はそんな誠治の眼差しに、ようやく気付いた。
「仲の良い兄妹だ」
小さな声で、卓也は言った。
「そうだろう」
誠治はゆっくりと諭した。
二人は馬鹿らしくなって、お互いを笑った。
「珈琲、入れるよ」
「すまん」
卓也は部屋を出ていった。
誠治はそれを見届けると、安心したかのように、大きな欠伸を解き放った。
卓也の誕生日まで、後二日。
誠治は物思いに耽った。
「珈琲だぞ」
卓也が戻ってきた。
「うまいな」
「当たり前だ」
「ちゃんと勉強してるか」
「それなりにな」
「志望の大学、入れそうか」
「俺は頭が良い」
「あっそ」
「お前こそ、桃子にうつつを抜かしていて良いのか」
「遅かれ早かれ、同じことだ」
「なら、今日から俺を、お兄ちゃんと呼べ」
「誰が」
「お前だよ」
「本当に呼んでやろうか」
「やっぱり止めてくれ」
「いや、呼びたくなってきた」
「我慢してくれ」
「我慢できない」
「卓也、アホだろ」
少し落ち着いてから、誠治が言った。
「今の僕は、阿呆と言われても、甘んじて受ける」
卓也は襟を正して答えた。
「よく考えてみろよ」
誠治は卓也を睨み返した。卓也はそんな誠治の眼差しに、ようやく気付いた。
「仲の良い兄妹だ」
小さな声で、卓也は言った。
「そうだろう」
誠治はゆっくりと諭した。
二人は馬鹿らしくなって、お互いを笑った。
「珈琲、入れるよ」
「すまん」
卓也は部屋を出ていった。
誠治はそれを見届けると、安心したかのように、大きな欠伸を解き放った。
卓也の誕生日まで、後二日。
誠治は物思いに耽った。
「珈琲だぞ」
卓也が戻ってきた。
「うまいな」
「当たり前だ」
「ちゃんと勉強してるか」
「それなりにな」
「志望の大学、入れそうか」
「俺は頭が良い」
「あっそ」
「お前こそ、桃子にうつつを抜かしていて良いのか」
「遅かれ早かれ、同じことだ」
「なら、今日から俺を、お兄ちゃんと呼べ」
「誰が」
「お前だよ」
「本当に呼んでやろうか」
「やっぱり止めてくれ」
「いや、呼びたくなってきた」
「我慢してくれ」
「我慢できない」