【2】口内炎バトル
三人の目の前に、熱々の麻婆豆腐が並んだ。
粗びき山椒の風味が、部屋の中で充満している。
「卓也の誕生日だ。おめでとう」
誠治が切り出した。
「卓也さん、おめでとう」
桃子が続けた。
「ありがとう」
卓也は兄妹に、畏(かしこ)まって答えた。
「卓也さん、これ、プレゼント」
桃子は紙袋を取り出した。
「開けてもいい?」
「うん」
いつの間にか、二人だけの雰囲気になった。
「俺は邪魔だな。どっか行こうか?」
誠治はすぐに察した。
「お兄ちゃん、居てていいよ」
「誠治、そこに居ててくれ」
「お、おう」
誠治は、慌てて二人に顔を向けられ、しどろもどろ答えた。
桃子のプレゼントは、手編みのマフラーだった。
さすが俺の妹だと、誠治は思った。王道なのだ。回りくどい方法は、誠治は嫌いだった。
「冷める前に食べましょうよ」
「そうだな。誠治、食べよう」
「まずは卓也の誕生日だ。卓也から食べるのが筋だな」
「じゃ、最初の栄誉ある一口は頂くぞ」
「食べて、卓也さん」
卓也は麻婆豆腐を放り込んだ。
「美味い。美味いよ、桃ちゃん」
「ありがとう、卓也さん」
「桃ちゃんも食べなよ」
「うん、食べる」
桃子は大口開けて、麻婆豆腐を口に運んだ。
「おいしい」
桃子と卓也は、小踊りしてはしゃいでいだ。
「お兄ちゃん、食べてないじゃない。熱いうちに早く食べてよ」
桃子は誠治に、自慢の麻婆豆腐を勧めた。
粗びき山椒の風味が、部屋の中で充満している。
「卓也の誕生日だ。おめでとう」
誠治が切り出した。
「卓也さん、おめでとう」
桃子が続けた。
「ありがとう」
卓也は兄妹に、畏(かしこ)まって答えた。
「卓也さん、これ、プレゼント」
桃子は紙袋を取り出した。
「開けてもいい?」
「うん」
いつの間にか、二人だけの雰囲気になった。
「俺は邪魔だな。どっか行こうか?」
誠治はすぐに察した。
「お兄ちゃん、居てていいよ」
「誠治、そこに居ててくれ」
「お、おう」
誠治は、慌てて二人に顔を向けられ、しどろもどろ答えた。
桃子のプレゼントは、手編みのマフラーだった。
さすが俺の妹だと、誠治は思った。王道なのだ。回りくどい方法は、誠治は嫌いだった。
「冷める前に食べましょうよ」
「そうだな。誠治、食べよう」
「まずは卓也の誕生日だ。卓也から食べるのが筋だな」
「じゃ、最初の栄誉ある一口は頂くぞ」
「食べて、卓也さん」
卓也は麻婆豆腐を放り込んだ。
「美味い。美味いよ、桃ちゃん」
「ありがとう、卓也さん」
「桃ちゃんも食べなよ」
「うん、食べる」
桃子は大口開けて、麻婆豆腐を口に運んだ。
「おいしい」
桃子と卓也は、小踊りしてはしゃいでいだ。
「お兄ちゃん、食べてないじゃない。熱いうちに早く食べてよ」
桃子は誠治に、自慢の麻婆豆腐を勧めた。