何千年の夏休み
大人達は私達の歓迎会とも関わらず、酒を飲み干し酔いつぶれた。
大体の人は帰ったんだけど、二十歳から四十歳位の女の人達は残っていた。
「全くうちの旦那ったら先に帰っちゃうんだから。」
「男だもの、仕方ないわ。」
クスクスと笑いながら皿を重ねていく人達。
「…あ、夕ちゃんと日和君はもう寝ていいのよ、貴方達の歓迎会なんだから。」
「いや…でも…」
折角歓迎会を開いてくれたのに食べるだけ食べて後片付けしないのは…
「大丈夫、打ち上げの日とかもそうだから。」
「打ち上げ?」
茶色の髪を後ろで縛り、真っ白のワンピースを着た大人っぽい女の人は笑いながら私の質問に答えた。
「ほら、覚えてない?この村の夏祭り。それが終われば打ち上げするでしょう?」
…夏祭り…
あぁ…そういえばあったっけ。
小さな村にしては大きな祭りで、村の外からも来客者が居たりする。
「…あ…はい、覚えてます。」
「9歳位だったから夕ちゃんは直ぐ寝ちゃったんだと思うけど酒を飲んだ男たちは先家に帰ってね、私達が片付けをするのよ…」
ふふ、と笑み声を漏らす。
「…そうなんですか…」
「…ええ、だから気にしないで。私にとったら貴方は子供みたいな存在だから片付けなんてしないでいいのよ…」
…子供…
そんなに歳離れてないと思うんだけど。
それに私だってもう17歳だし。
「…夕、今日はお言葉に甘えてもう寝よう?」
お兄さんが私の肩に手を置き、笑いかけると視線を女の人へ移し一礼した。