可愛いって言うな!! 短編
「猫、嫌いだったんじゃないの?」
そう言いながらオレの隣にしゃがんで猫を撫でる。
「なんで追いかけて来たんだよ、嫌いだって言っただろ…」
「蒼ちゃんの嫌いは嘘だよ」
オレは雪を見る。
雪は顔を猫に向けたままだ。
「嘘って…」
「どれだけ一緒にいたと思ってるの?蒼ちゃんのことぐらい分かるよ」
だからなんでそういうことをサラッと言うかなぁ。
ある意味ストーカー宣言だぞ。
「蒼ちゃんの嫌いは逆の意味、猫だって嫌いじゃないでしょ?」
「いつから分かった?」
「最初から、蒼ちゃん覚えてないと思うけど、一年のときの帰り道、捨てられてた猫を連れて帰るの見たんだ、優しくて可愛い子だなって思った」
雪はオレの顔を見てニコッと笑った。
「そっか…」
「蒼ちゃん、今ドキドキしてる?」
「な…何言ってんだ!!」
確かにドキドキしてるけど、んなの言えるか…。
「してるんだ♪良かったボクだけじゃなかった」
なんで分かったんだよ!!