可愛いって言うな!! 短編


「猫、嫌いだったんじゃないの?」


そう言いながらオレの隣にしゃがんで猫を撫でる。


「なんで追いかけて来たんだよ、嫌いだって言っただろ…」


「蒼ちゃんの嫌いは嘘だよ」


オレは雪を見る。


雪は顔を猫に向けたままだ。


「嘘って…」


「どれだけ一緒にいたと思ってるの?蒼ちゃんのことぐらい分かるよ」


だからなんでそういうことをサラッと言うかなぁ。


ある意味ストーカー宣言だぞ。

「蒼ちゃんの嫌いは逆の意味、猫だって嫌いじゃないでしょ?」


「いつから分かった?」


「最初から、蒼ちゃん覚えてないと思うけど、一年のときの帰り道、捨てられてた猫を連れて帰るの見たんだ、優しくて可愛い子だなって思った」


雪はオレの顔を見てニコッと笑った。


「そっか…」


「蒼ちゃん、今ドキドキしてる?」


「な…何言ってんだ!!」


確かにドキドキしてるけど、んなの言えるか…。


「してるんだ♪良かったボクだけじゃなかった」


なんで分かったんだよ!!


< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop