ケータイ
声だけの友達
中学生になって2週間
わたしはクラスで 浮きまくっていた


それは入学式の日
静かな式の途中
マナーモードだったはずの
携帯電話が 鳴ったのだ

しかも
ふたりはプリキュア!の主題歌


鳴り響く プリキュア‥‥
痛いほど感じる 皆の視線‥‥


楽しみにしていた中学生生活が無残にも崩れさった瞬間だった


あだ名(陰口限定)は
オタクちゃん


【父親】の転勤で来た街
【友達】のいない街
【知り合い】のいない街

母子家庭で育ったわたしは【父親】と どう接したらいいのかわからなかった。
母は【父親】と再婚してから夜の仕事を増やした


いろんな事が重なって
わたしは 変になっていたのだ
苦しくて
この気持ちをどうにかしたったのだ
でも

話せる友達はいなくて
母も【父親】も
仕事だった

家に ひとりぼっち だった
ずっと ひとりぼっち だった

だから
目の前にあった
携帯電話に
話しかけてた

「ケータイ‥‥」
「君はいいね!」
「ずっと誰かの傍に居れるんでしょう?」
「誰かに必要とされるんでしょ?」
「いいなぁ‥‥」

『馬鹿じゃねぇの‥‥』

「なに!わたしは頭はいいほうですが!?クラスで2番だからね!」

『いや‥‥そうじゃなくて‥』

「ケータイデンワ−のくせにぃ‥‥‥‥ん?」

わたしは違和感を感じた
わたしは家にひとりぼっち
なら さっき わたしを馬鹿にしたのは
「誰‥‥‥‥?」





< 1 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop