ただ、あの空へ

そして僕は居場所を失った

−翌日。

…身体が重い。
こんなときに限って時は無情なほどに早く過ぎていく。

明日なんてきてほしくなかったのに…。

だけどこれは仕事。休むことなど許されるわけもない。
一時間かけていつもの道をゆく。学校が見えてきた。


…昨日あった信じられない出来事。

…夢だったらどんなに楽だっただろう。

…もしかしたら夢なのかもしれない。


そんな淡い期待も混じりながらドアを開けた。

『おはようございます。』


…誰からも返事が返ってこない。

…誰もこっちを向いてすらくれない。

なんだか嫌な雰囲気だ。

とにかく仕事の準備をしよう。

席にすわると皆の会話が始まった。
自分が感じた嫌な雰囲気は気のせいだったのか。

会話の中にたまたま自分の地元のおいしいお店の話が聞こえてきた。

『…あっ、その店知ってますよ!』




『…。』




自分が話すと会話が止まった。そして何事もなかったように会話が続いた。
…自分の会話そのものが『なかった』ことになったのだ。


僕は、自分の存在が消されてしまった事に気がついた。
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