ゆめ
人混みをかき分け、小さなゆめを必死で捜した。けれど…
「いた!?」
「いない…」
「まさか誘拐されたんじゃ…」
「ええ!?け…警察に…!」
「待って亜紗子!」
「何っ!?」
「…俺たちだって、誘拐じゃないけど勝手に預かってるわけで…何て説明すんの?」
「う…それは…」
「あー…。どこ行っちまったんだ……。もしかして本当の親が現れて連れて帰ったのかな?」
「ええ…?」
そんな…
そりゃ…私は本当の母親じゃないしゆめは本当の子供じゃないし本当の本当の幸せじゃなかったかもだけど…
けど…
ーはっはっはっ…
…何やら向こうでは来園客が集まり盛り上がっていた。
「…なんか楽しそうだな。行ってみようか?」
「…行かない。行きたかったら行けば?」
私は力が抜けて動きたくなかった。
健太はひとりで見に行った。
よくもこんな時に…
「ママー」