ゆめ
仮の親としてやめさせるべきか…どうせ本当の子供じゃないし…恥ずかしいから知らん顔をしてしまおうか…
て何故か迷っていたら…
「あっ、パパー!ママー!」
ゆめに見つかって、大声で呼ばれた。
たくさんの観衆が一斉にこっちを見た。
「パパー、ママー、きゃっきゃっ」
「この子の親御さんですか」
「ど、どうもすみませんでした!」
恥ずかしくて、ゆめを抱きかかえ、逃げた。
「おい、亜紗子。どこ行くんだよ!?」
「帰るのっ!」
私は感情的になっていた。ゆめが泣きそうな顔をしているのにも気がつかずに…
「亜紗子っ!」
「なんで私が謝んなきゃいけないの!?私はこの子の親じゃないし!なんで私は…なんで……」
平穏に見えていたものも、やはりまやかしで…私は情緒不安がいっきに溢れ出た。
ゆめは、私の子供ではない。
私は子供を産めない…
「ママごめんなさいっ…ママ泣かないで…」