ゆめ

「お父さん、おかえり」

「なんだおまえ、健太と喧嘩でもしたのか?」

「ぷっ、お母さんと同じこと言ってる」

「そうか?夫婦だからな。亜紗子も健太と仲良くして早く孫の顔を見せてくれ」

「…どうしてそんな話になるの」

「見たいんだよ。おまえら結婚してもう3年だろ。そろそろ…あっ、おいっ……」






私は思わず逃げてしまった。

耐えられなかった…


私は親不孝な娘…










「…なんだ、いるじゃん。どうしたの、電気もつけないで」

「あ…、おかえり。もうこんな時間か、ごめん…何もしてないや」

「いいよ、飯は食ってきたから。…具合でも悪いの?」

「うん…、大丈夫」




…お医者さんに言われたことを話さなきゃいけない



「健太、あのねっ…」

「ん?」

「あのね………」





話さなきゃいけないのに…


次の言葉が出てこない…




「…ごめん。急ぎじゃなかったら明日でいい?俺今日すごい疲れてんだ」

「…うん」

「おやすみ」



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