ゆめ
不思議な出会い
私を母親と間違えているようだ。
母親はどこにいるんだ?
「ママー」
「あの…私はママじゃないのよ」
女の子は私の顔をじっと見ていた。
「ママぁ、ゆめのこと忘れたの?うっ、うっ…」
泣き出してしまった。
…そんなこと言ったって私は…
もう、なんでこんな時にこんな目に遭うの!?意地悪にも程がある!
私は怒りさえおぼえた。
…とにかくこの子をおうちに連れて帰ろう。
「…もう泣かないで。おうちはどこ?」
女の子は私の手をとり、歩き出した。
「ママ、おうち忘れちゃだめだよぉ」
だから、私はママじゃないって…。
私は子供は産めない……
どうして…!
現実を見たくなくて、私は目を閉じた。
ただ女の子に引かれるままに、たどり着いたところは…
「………ここは」
「ただいまー」
うちだった。
女の子はトコトコ玄関へ走っていった。
「ちょっ…ちょっと!ここはあなたのおうちじゃないでしょ!」