ナルシー少年☆蛍斗くん


「あっそ。兄ちゃんのとこ行けばいいんだろ?」


振り払おうとしたせいか怒った顔をしてそう言う蛍斗。

そうゆう問題じゃないのに。



「兄ちゃんに会ったらすぐ帰るからな。」


自分勝手な冷たい声。

そのくせ優しく握り直す手、私に合わせるようにして進む歩幅。


そんな矛盾(ムジュン)した態度がもっと私を苦しめるんた゛。

言いかえしたいのに。


「ふん!!」

鼻を鳴らして怒りを表現することしかできなくなる。



ずっとこうしていたってきりがないし。

蛍斗が折れることはまずない。



私は泣きそうになるのを堪(コラ)え、一歩を踏み出した。


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