ナルシー少年☆蛍斗くん
目の先まで近づいた蛍斗は私に歩み寄り、また手を取る。
あまりにも自然に取るものだから無意識にギュッと握り返してしまった。
あ、あれだ!!
赤ちゃんが手に置かれたのをギュッと握っちゃう、あれだ!!
奴のテクニックは計り知れない。
気づかれないように少しづつ手の力を抜き、蛍斗の様子を伺(ウカガ)う。
兄ちゃんを目の前にしてもムスッとした表情が変わることはない。
「おっ。蛍斗、来んの遅かったね?」
兄ちゃんは気にすることなくニッコリ微笑んでまずそう言った。
奴は"矢恵が----"どうのこうのとぐちぐち言っていた。
完全に蛍斗のせいだというのに。
手を離せコノヤロウ。
はぁ、でも、
私が大人になるしかないかぁ・・・
振り回されてるのが私だけじゃないとわかった今、このままじゃ兄ちゃんが気の毒だ。
それに、せっかく来たし。
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