ナルシー少年☆蛍斗くん


「そんなに言わないでよ、ごめんって。」

蛍斗の顔は見れなかったけど、ちゃんと言えたと思う。

だけど、奴の表情は変わらない。


「思ってないくせに、言うな。」

なんでそんなふうに言うかな?

謝ったのに。

私が大人になって謝ったのに!!


「タヌキ、もう俺はおまえがわからん・・・」


はいッ?

どうしちゃったのよ、蛍斗。

苦しげに眉を寄せる。


「矢恵はそんなヤツじゃないって信じてたのに」

「え?」

「そこら辺の男と人前でキスなんか・・・」

「ちょっ!!」

「それホント?」


びっくり顔の兄ちゃんが話に割り込んでくる。

「ご、誤解ですッ!!」


その言い方おかしいでしょ!?

そこら辺の男じゃないし、まずキスしてない。

見せかけただけだ!!


まぁ、奴が事実を知らないからしょうがないんだけど。


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