ナルシー少年☆蛍斗くん
バンッ!!
「痛ッ!!」
思いっきり押された反動で、ひっくり返る。
近くの椅子に腰を打ち付けてしまった。
蛍斗は少し青い顔をして近づいてくる。
やり過ぎに気づいたのだろう。
普通、女の子相手に本気で押す?
はらわたが煮えかえりそうだ。
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫じゃない!!痛い。」
ジンジンと酷く痛む。
仕方なくベットまで肩をかりた。
腹立つー。
何でいつもこんなことになるのだろう。
いつもいつも振り回しやがって。
結構痛いし・・・
薄く滲(ニジ)む涙を見られまいと、自然と顔が俯く。
「早く帰れ!」
私は蛍斗に強くそう言った。
だがそれを無視して私の隣に腰掛ける。
「怒ってる?」
覗き込む蛍斗に更に顔を俯かせる。
「当たり前でしょ!!」
いかにも怒っているという風に、そう言ってやった。
蛍斗は眉を寄せて、難しい顔をしていた。
謝ろうかどうか迷っているのだろう。
奴は他人に謝ったことがないらしい。
彼曰く
『他人に迷惑をかけたことなどない』
そうだ。
私には散々迷惑かけてるだろうに。
気づいてないのだろうか?
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