ナルシー少年☆蛍斗くん
「あの・・・。あのさぁ・・・」
「・・・・・・。何?」
「いや、なんでもない・・・」
言いづらいのか、いつまでたっても謝ろうとしない。
それどころか
「・・・みっちーがご飯だって。行こうぜ?」
と、話しをはぐらかそうとする。
みっちーとは私のお母さんのこと。
『みちる』という。
小さい頃から蛍斗は母さんをみっちーと呼んでいた。
二人は大の仲良しだ。
だから、母さんはもうなにもかも知っているんだろう。
きっと味方につけているはずだ。
いつもそうだ。私が怒ると母さんに助けを求める。
そして私は母さんに宥められて、奴は謝ることなく終わる。
母さんは口が上手い。
それに、逆ギレする可能性もあるから、どうしたって敵わない。
お腹は空いてるが、謝るまで絶対行くもんか。
「どうぞ、お勝手に!!」
「お腹空いてるだろ?」
「・・・・・・。」
下に下にと俯く私の顔を無理矢理上げて、魅惑の笑みを向けてくる。
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