ナルシー少年☆蛍斗くん


そっと立ち上がる蛍斗。

私は見届けることすら出来ずに俯くしかない。


ギィーと音をたてて開くドアの音色がふと途切れる。


見上げると取っ手を掴んだままこちらを振り向いて、強い瞳で私を見る蛍斗がいた。



「なぁ。」



・・・


「アイツの事、ほんとに好きなのか?」


そんなこと言われても言葉に詰まってしまう。

ホントの気持ち、、
桃汰くんを異性としては好きではない。
それは確実。

だけど、これは私達の為なんだ。


蛍斗と私の。

だから、嘘を突き通さなきゃ!


「う、ん。」


全部話して楽になりたいという衝動に駆られるが必死で抑えようと私も蛍斗を強い瞳で見つめた。


そんな私を見て、蛍斗はほんの一瞬だけ悔しさと寂しさと怒りが混じったかのような顔をしたが、まばたきをした次の瞬間冷たい表情に変わった。


そして、そのまま静かに私に近づいてくる。


私は蛍斗の変化に戸惑い困惑した表情のまま見上げる。





気づいた時にはもう遅かった。


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