ナルシー少年☆蛍斗くん
痛む腰を押さえ、階段を降りていくと、キッチンの方からいい匂いが漂ってくる。
ドアを開くと、父さんと母さんがテーブルについていた。
「あれ!?裕は?」
「部活よ。先に食べときましょ?」
そう言って食べはじめる。
『裕(ユウ)』とは弟のことだ。
今、中学1年生。
最近になってサッカー部に入った。
土曜日なのに頑張るなぁ。
それに比べて蛍斗は・・・
奴の方を見てみると、何やら母さんとコソコソと話している。
「みっちー、作戦Aは中止。」
「あら、どうして?仲直りしたの???」
「俺が『ごめん』って言ってやった。」
「蛍斗、偉いわ!!」
母さんは蛍斗の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
何故上から目線?
母さんも、そんな奴を褒めるな!!
私には厳しいのに蛍斗には激甘だ。
私はこっそりと睨むが奴は全く気づかない。
「・・・ついでに抱きしめてやったし!!」
ぶはッ!!
奴の爆弾発言に思わず私と父さんが吹き出してしまった。
親の前でなんてことを・・・
父さんにもバッチリ聞こえてたようだ。
まだゴホゴホとしている。
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