ナルシー少年☆蛍斗くん


「も、妄想って・・・あんたがそういう態度とるから・・・。そう思っただけで・・・私。・・・てか、今まで会わないようにしてただろ!!」


「タヌキに会ったら素がでる可能性がある。俺はナルシストなんだ。お前だってここにそう書いてるじゃないか。『ナルシスト故(ユエ)に』って。」

奴はさっき書いてた謝罪文の紙をピラピラと振っている。

「なに開き直ってんの。返せ!!」


奴から紙を奪おうとする。

「今まで学校で関わらなかったのは奇跡に近いと思う。会ったら無視はしなかったよ?異常事態じゃないかぎり。」

「・・・???」

「あの時は異常事態だったんだ。」

奴は微笑むとそう言った。
「なんだそれ!!」

なんか言いくるめられてるような気がする。


だけど私の心は奇(ク)しくも晴れていってるようだ。
イライラも寂しさも消えていく。



それからは、いつものようにくだらない話をし、夕ご飯を食べて帰っていった。


いつの間にか仲直りしてる私達。



私達の喧嘩は私だけが感情的になって突き進み、蛍斗によって穏やかに終わってゆく。
いつだってそうだった。

だからこれからもそうなるんだろう。


何年たっても変わるはずがない。

私達が一緒にいるかぎり。




ベットに入りながら私は明日学校で奴に会う計画を懲(コ)りずに策略する。

今日もよく眠れそうだ。

王子様に扮した蛍斗を思い描きながら眠りにつくのだった。


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