ナルシー少年☆蛍斗くん



「・・・行くぞ!!タヌキ。」

今までむっつりとした表情が嘘のように顔が綻んでいる。
気分はもうおやつでいっぱいのようだ。
子供のようで失笑しか出ない。
甘いものは三度の飯より大好物なのだ。



「歩くの面倒だなぁ。今日は持ってくれば???」

「自分で行かない奴にはあげねーよ?・・・ほら、立てよ。」


おやつは蛍斗の家に行かないとない。
私の家族は甘い物をあまり食べないから置いてないのだ。
チラリと奴を見たが持って来てくれそうな気配もなかった。

面倒臭いがおやつを食べたいので仕方なく立ち上がる。

差し出された手はもちろん無視し隣の家へと向かった。





――――――‐‐‐



10月に入ったからか、家に入ると暗くて肌寒かった。

この家にはおやつの時間以外はめったに来ない。



昔からそう。
どうしても好きになれない。



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