ナルシー少年☆蛍斗くん
ま、仕方ないな。
健全な男子高校生を待たせるなんて罪深い女だぜ。
だから…
だから
これくらいは許してほしい。
俺はまた寝返りをうち、こちらに顔を向ける矢恵に近づく。
そして、優しく唇を寄せた。
無意識に柔らかな髪を手ですく。
眉間の皺(シワ)がやわらいだような気がして俺は少しだけ嬉しくなる。
だが、満たされる想いとは裏腹に切ない後味に何故か泣きそうになった。
自信はある。
でもまだ届かない一方通行のキスでは苦しいだけなんだ。
それを繰り返す俺はなんて滑稽(コッケイ)なんだろう。
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