ナルシー少年☆蛍斗くん
「辛い思いなんてさせないよ。俺達はいい関係なんだから心配しないで?」
亜杜には悪いけど、俺達のことは放っておいて欲しい。
俺達のペースがある。
冷たいようだけど亜杜と俺達は違うんだ。
独りよがりなところのある亜杜は、きっと相手と向き合ってさえいないのだろう。
それに、今の状況が矢恵を辛くさせてるようにはみえない。
「・・・でも、この前は?亜杜、ライオンちゃんの顔直視出来なかった。物凄く、傷ついた顔してたもん!」
あの時アイツが教室に乗り込んできて、後からホントの気持ちぶつけられて、正直戸惑ったし、嬉しかった。
そして、アイツをそんな顔にさせる自分も許せなかった。
だけどそれはもう解決したんだ。
あの事件で俺達はまた少し近づけたような気がする。
ほんの些細なことでも、俺達には凄い進歩。
確実に距離は縮まっている。
「亜杜ちゃん!先生が呼んでるよ?」
「ありがと。今いくねぇ。」
やっと亜杜の追及から逃れられた。
不満げに去る亜杜を見やりながら俺は考える。
今はこのままでいいんだよな?
俺達のペースはこれでいいんだよな?
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