ナルシー少年☆蛍斗くん
「麗子さんは仕事?」
「知らない。・・・男の所なんじゃない?」
「・・・ちょっとは落ち着けばいいのに。」
「ほっとけ、ほっとけ。」
麗子さんは蛍斗の母親だ。
父親は蛍斗が3才のときに死んだ。
蛍斗は麗子さんが嫌いだ。
それもそうだろう。
男遊びが激しく、4才の頃蛍斗を家に放置していたこともあるのだ。
一人残され泣きわめく蛍斗を見兼ねたお母さんが、奴を救いだした。
それからは滝沢家の子みたいなものだ。
幼少の頃はほとんど私の家で寝泊まりしている。
高校2年生になった今では、夜とおやつの時間だけ家に戻っている。
麗子さんは蛍斗が家にいても、いなくても何も言わなかった。
けれど、家には蛍斗の為にお菓子や甘い物を大量に買い込んだりしてた。
罪滅ぼしのつもりかもしれないが、蛍斗は許すつもりはないだろう。
今や他人のように接していた。
だけど、どういう気か知らないが麗子さんが買ってきたおやつだけは必ず残さず食べている。
消費期限が近づくと私まで巻き込まれ、毎度酷いものだ。
絶対に捨てることはしないのだから。
今日は普通の量でありますようにと祈りながら蛍斗の家へ入った。
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