ナルシー少年☆蛍斗くん
旅館に入るとまずは部屋に案内される。
部屋は蛍斗がいるから男と女で分かれることになった。
お母さんは不満そうだったが致し方ないだろう。
「アナタ――っ、街の方も行ってみましょ~」
久しぶりに2人っきりでラブラブしたいみたいだ。
お父さんは子供たちだけで残すのはと、こちらの様子を気にしているようだが、ヒラヒラと手を振って送り出す。
あのラブラブっぷりをずっと見せつけられるのもキツイ。
裕と蛍斗とのんびり観光でもしますか。
「じゃ、俺、行くわ。」
「はっ⁉」
裕がさっさと街へ行こうとする。
「1人じゃ危ないでしょ‼」
「姉ちゃん。俺の事いくつだと思ってんの。」
まだ、中学生じゃないの‼
と言いたいが子供扱いするとすぐ怒るから言葉に詰まる。
「でも・・・1人じゃ寂しいでしょ?」
「いや、むしろ1人が楽。」
「でも・・・」
「もう。じゃあマメに連絡入れるからいいでしょ?実は行きたいとこ決まってんだよね。」
ココに行ってるからと行動予定表を渡される。
我が弟ながらしっかりしている。
「裕なら大丈夫だろ。予定表に書いてあるとこも知れたところで安心だし。」
「そうだけど・・・」
「裕。夕方の4時には一緒に行動するから。それまでにはここに帰ってこいよ。」
「わかった。」
蛍斗がホントのお兄ちゃんみたいだ。
裕も蛍斗の事は慕っているし。
なんか悔しい。
「なんかあったら電話してよ?」
「分かってるから。うるさいなぁ。」
面倒くさげに行ってしまった。
心配しているのに。
結局蛍斗と二人っきりになってしまった。
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