ナルシー少年☆蛍斗くん
「何?」
「・・・お前、言っとくけどなぁ。兄ちゃんはタヌキのことなど妹ぐらいにしか思ってないぞ?」
またその話しか。
言われなくても分かっている。
だが奴は心配なのか最近ずっと、『兄ちゃんはお前のこと好きじゃない』とか『お前には無理だ、諦めろ』とか言ってくる。
どれだけ兄ちゃんが好きなんだ!!
私は兄ちゃんに恋愛感情はもってないから、いい迷惑だ。
兄ちゃんだってそうだろう。
だが奴は真剣に話す。
「俺は反対だ!!」
「・・・・・・。」
「おい!!」
なんで蛍斗に反対されないといけないのか・・・
「・・・・・・。」
「おい!!聞いてんのかよ!!」
「・・・・・・・・・」
「ぅおいッ!!」
「うるさい‼・・・そして、しつこい!!」
「・・・・・・。」
やっと静かになった。
反省してるのかと、そっと奴を盗み見る。
よく考えたらそんなわけないよな・・・
拗ねていた。眉根を寄せ、鏡をじっと凝視している。わざとこっちを見ようとしない。
『明日は置いて行ったらダメかなぁ』
そう思ってしまう。
連れて行っても私が疲れるだけだろう。
誘ったことを少し後悔してきた。
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