ナルシー少年☆蛍斗くん
少し拗ねて、手荒に散らかした服を片付けていると
「メイクもしてやるから」
と、無理矢理奴の正面に座らさせられた。
毎回強引なんだから。
メイクは嫌だったが、完璧主義者には何を言っても無駄だろう。
何でも器用にこなす蛍斗にはメイクだってお手の物だ。
きっと綺麗にしてくれるだろう。
淡い朝日が蛍斗をキラキラと照らしている。
いつもと違う穏やかな表情で私の頬に手をそえるものだから、どうしても奴の方を見ることができないでいた。
「ん?どうした?」
小首を傾げる顔が、異常に近い。
見たらダメだ!!
見たらダメだ!!
見ちゃいけない!!
「こっち見ないとできないだろ!!」
そう言って、両手で顔を持ち上げた。
見慣れているはずなのに、体温が急上昇する。
私はどうしてしまったのだろう。
胸が張り裂けそうなほど高鳴る。
「や、やっぱり自分で・・・」
「出来んの?」
私が出来ないのを知っているのか、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべている。
「・・・・・・。」
「なんだって???」
「出来・・・ない。」
「だろ?俺が綺麗にしてやるからタヌキは心配するな!!」
奴は得意げにそう言って、手際よく準備をはじめた。
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