ナルシー少年☆蛍斗くん
大学内は生徒や来客で賑わっていた。
兄ちゃんはどこにいるんだろう。
友達との約束なんてしてないのについ言ってしまった。
でもここにはもう居たくないよ。
蛍斗はホント無責任だ。
彼女がいるなら教えておいて欲しい。
そしたら誘わなかったのに。
腹立つッ!!
そうだ、こんなにも惨めな気持ちになるのは蛍斗のせいなんだ!!
デートに幼なじみがのこのこついて行けるわけないじゃん・・・
辺りを素早く見回す。
奴はこの状況に何とも思ってないようだから、自分でどうにかしなきゃ。
ふと龍の刺繍をあしらった黒いジャンパーの背中が目につく。
見覚えのある背格好に私の顔が綻ぶ。
私なんか知ってる・・・?
いや。
できれば知り合いであってほしい。
ここから抜け出せるチャンスだ。
こっちに振り向いてくれないかな?
私は祈るような気持ちで彼の背中を見つめた。
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