ナルシー少年☆蛍斗くん
やっぱりッ!!
出店を見渡す彼の横顔は
「桃汰ーーッ!!」
"滝沢さんも一緒に回ろう?"とか馬鹿なことを言い出す蛍斗を無視して、私は懸命に声を張り上げた。
どうか、気づいて?
桃汰くんはキョロキョロと見回し、私に気づくと悪戯っ子のような顔で笑う。
そしてゆっくりと近づいて来た。
「桃汰って・・・誰?」
ポカンとした顔で蛍斗は桃汰くんを眺める。
亜杜は・・・
ヒィ〜ッ!!
鬼のような物凄い形相で桃汰くんを見ていた。
「・・・何でアイツがッ!!」
何で?
知り合いだろうか。
その顔は可愛い亜杜の顔が台なしだよ〜。
桃汰くんが近づくにつれ、顔の形相が増し、それと同時に少しづつ後退していった。
今や蛍斗でほぼ身体が隠れてしまっていた。
.