ナルシー少年☆蛍斗くん


私、桃汰くんと約束したことにするつもりだったのに、亜杜の様子に言い出せなくなってしまった。


まずは桃汰くんと亜杜を離す方が先決だろう。



「矢恵っぴ、行こ?」

「あ、うん・・・」

ぐいぐい押す亜杜に、素直に従う。
せっかく来た救世主だったけどこの場合しょうがないよね。



「亜杜。滝沢は俺と回る予定だから。」

思いがけない桃汰くんの一言に私達の足が止まる。


桃汰くん、察してくれたのだろうか?


「や、矢恵っぴは亜杜と行くんだもん!!」

「へぇ〜。おまえ、月山とデートだったんじゃなかったのかよ。」


核心を突く桃汰くん。

私が1番気にしていたことだ。


デートなら桃汰くんと回った方がいいに決まってる。



「もう忘れた?今朝、言ってたじゃん?」


「そ、それは・・・」


やっぱりそうだったんだ。

言い淀む亜杜は完全に困った顔をしていた。




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