ナルシー少年☆蛍斗くん


「俺と、キスして?」

「はぁ?」

桃汰くんをまじまじと見遣る。
この人は何言ってんのかしら。


「リアルに?」

「どっちでもいいけど、滝沢、ふり下手そうだからね。」


いやいやいや。
やったことないし。

ファーストキスだよ!?


「いつもすかした月山の顔が驚きの顔に変わる瞬間を見てみたくない?」


そんなことで驚くかなぁ?
それより、こんなに呆気なくファーストキス奪われていいもんだろうか。


「もしかして初めて?」


ギクッ

「そ、そんなわけないじゃん。」


つい強がってしまった私。

「じゃ、いいだろ?」


桃汰くんはただの友達なのに。


「桃汰くんはそれでいいの?」

「それでって?ただ唇を重ねるだけじゃん。手を繋ぐのとなんらかわらないだろ?」

ロマンチックのカケラもないな。
私の中の"キス"の常識が音を立てて崩れていく。


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