ナルシー少年☆蛍斗くん


そういう考え方の人もいるんだな。
ファーストキスにこだわる自分が何だか馬鹿らしくなった。


効果があるとは思えないけど、桃汰くんがそれで満足するならいいかもしれない。



「わかった。」


「よし!!ぎゃふんと言わしたろうぜ。」

弦月形の大きな瞳を細め楽しそうに笑った。


桃汰くんの方を向いて準備を整える。
ここからは蛍斗も亜杜も見えない。

桃汰くんだけが堪能できるってわけ。
ずるいなぁ。


ゆっくり顔が近づく。
蛍斗とは違った甘めの顔に不覚にもドキドキしてしまう。

だけど桃汰くんの心ここにあらずって感じに冷静になれた。


あれ?

視線の方向からいって
コイツ、亜杜のことばかり見てんな?



やっぱりダメだ。
キスなんかできない。


でも桃汰くんの顔は確実に近づいてきていた。



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