ナルシー少年☆蛍斗くん


どうしよう。

どうしよう。

どうしよ。



あっ、そうだ!



"ふり"でもいいんだ。


私はグッと桃汰くんを引き寄せ、頬に手を置いて口元を隠す。

これなら多分大丈夫。



自分のペースを崩された桃汰くんはびっくりした顔で私を見ていた。

少し動いただけで当たってしまいそうな距離。


そろそろ離れるか近づくかしないと怪しまれるかも。

「矢恵っぴ!!」

「矢恵!!」


その声に私達は勢いよく離れた。

思ったより登場が早いよ。


私達の座るベンチの前には亜杜と蛍斗。

楽しみにしていたその顔はびっくりなんて顔じゃなかった。


あまりにも悲痛な二人の顔。


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