ナルシー少年☆蛍斗くん


"どういうことよ。"

桃汰くんに小声で尋ねる。

"やり過ぎた?"

桃汰くん、あちゃーって表情で私にそう言った。



亜杜はほとんど泣き顔だし、蛍斗はなんか怖い雰囲気を醸(カモ)し出している。

うわ
ヤバいな。

前にも経験したその雰囲気は怒りの前触れ。

滅多に本気でキレない蛍斗がキレると尋常じゃない。


桃汰くんはいち早く察知したのかキョロキョロと辺りを見回す。

絶対逃げる気だな。


小声で"滝沢、後は任した"と聞こえた。


止める間もなく

「亜杜、行くぞ!!」

と、亜杜の手を引いてダッシュで駆けていった。



亜杜を連れて行ったのは偉いけど、私一人残すなんてひどいと思う。



けど、私だって蛍斗に怒ってるんだ。

それに蛍斗が怒る意味が分からない。


蛍斗になんか負ける気がしないんだから。

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