ナルシー少年☆蛍斗くん


怖い雰囲気のまま佇(タタズ)む蛍斗。


「な、何か?」

少しの間の沈黙にも耐え切れず私から声をかけてしまう。


言いたいことあるんならさっさと言って欲しい。

じれったい。

奴が何か言わないと文句も言えないじゃない?




なのに、奴は無言で手を取り歩き出した。

少し充血した瞳は決して私を見ようとしない。


「ちょ、ちょっとッ!!」

しゃがんで"絶対動くもんか"って思うのに、蛍斗の力にズルズルと引きずられていく。

有無を言わさないその感じにもっと腹が立つ。


「ど、どこ行くのよ!!」

「帰る。」


帰る?

「勝手に一人で帰りなさいよッ!!」


大声で怒鳴る私の声に足を止めた。


コイツ最低だ。
最初から最後まで、自分勝手。
私の気持ちなんて考えたことないんだよ。


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