心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー




話した。全部全部。


いつの間にか、雅を好きになってたこと。

雅が桃香と付き合ったって聞いたとき、その思いを自覚したこと。


……雅に思わせぶりな言葉を掛けられたこと。


思ったこと、感じたこと、全部全部深紅に話した。


深紅はずっと黙って聞いていてくれた。


急かすこともなく、ずっと。


そして最後、思わず泣いてしまった私に


“頑張ったね”


それだけ言って、あとはぎゅっと抱きしめててくれた。


深紅の腕の中は暖かくて、ますます涙が溢れてきちゃったけど。


それでもずっと、抱きしめてくれていた。

そして最後に、諦めたほうがいい?と聞いた私に


「無理に諦めることはないよ。その想い、大事にしていいと思う」


そう言って、微笑んでくれた。


嬉しくて、また涙が溢れそうだった。


だって私が一番ほしい言葉をくれたから。

彼女がいたってなんだって、これは私の気持ちで、誰にも強要できない。

だからしたいようにすればいって。



片思いも、立派な恋。



私の想いは私だけのものだから。





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