心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー
――それから半年後。
いよいよ、小学校卒業の日。
私達の小学校の卒業式なんて、形式的なものでしかない。
だって、中学は全員一緒だし、他の小学校から沢山集まるわけでもない。
だから、退屈以外の何物でもなかった。
…あの日のすぐ後、いつの間にか雅と桃香が別れていたことが分かった。
原因は分からない。
けれど振ったのは、なぜか雅だったらしい。
理由は、なんか違ったとかなんとか。
それを聞いたとき、少しだけ桃香に同情した。
…ホント、自分勝手な男だよ。
それに惚れてる私もどうかと思うけどさ。
お経か!ってかんじの、長ったらしい校長の送辞か答辞かを聞き流す。
別にこんなことする意味ないと思うけどなぁ…。
だって中学校すぐ裏にあるんだよ?
ほんっとだるい…。
てかみんな寝てるし。
そうこう思ってるうちに式は終わりを迎える。
…イヤ、泣けねぇよ。
つか深紅。そんな堂々と欠伸すな!
そしてやっと退場。
体育館を出たときの解放感は凄かった。
みんなまったく寂しそうな顔を見せず、伸びをして、この後の予定を語り始める。
つかだりぃ。眠い。
そう思ってふらふら教室へ歩いていると、名前を呼ばれた気がした。