心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー
それから一週間。
深紅の言っていたことは、本当っぽかった。
別に目立っていちゃついてる訳じゃないけど、本人達はいいとして、周りの友達とかが2人をはやし立てる。
“手ぇ繋げよ”とか“キスは?”みたいな。
それを否定もせず、まんざらでもない感じで聞いている雅は、きっと噂が本当なんだろうと思わせるのに充分だった。
あーあ。納得いかない。
そのせいでこの頃私のテンションは下がりっぱなし。
隣にいる深紅も深紅でイライラがハンパない。
「うぜぇ」
思わずはっと振り向いてしまうほど、深紅が低い声で言った。
「なにが?」
「あそこでたかってる糞餓鬼ども」
そう言ってチッと舌打ちをする。
「ちったぁ静かに出来ねぇのかよ!」
おぉ………恐っ。
深紅は綺麗な顔を苛立ちで歪ませる。
深紅がキレてるのは、うるさいのもだけどきっと桃香が関わってるから。
なんか合わないらしい。
……まぁ、その気持ちは分かるけど。
私も、出来れば関わりたくない部類に入る人だから。