心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー
「永遠は?」
突然、ふと深紅がこっちを向いた。
「ん?何?」
「なんか元気なくない?」
さっきの表情とは打って変わって心配そうに私を見つめる深紅。
…言ってないんだよね。
雅を好きなこと。
私は深紅ににっこりと笑う。
「別になんもないよ?」
「…そっか。なんかあったら言いなよ」
深紅はそう言って、ちょっと悲しそうに笑って自分の席に戻っていった。
あー…。
心配かけちゃったな。
でも言えないもんな。雅が好きなんて。
チャイムがなり、授業が始まる。
でもま、雅がまず本当に桃香を好きなのかわかんないしね。
小学生ってなにかとマセたがる時期だし。
彼女ほしさに告られて付き合っただけかもしんないし。
…だって、雅前言ってたもんな。
“俺、彼女つくんねー”って。
でも雅は優しいから。
きっと告られて断り切れなかったんだ。
…そんなの優しさじゃないのにね。
私はひとりでそう思って、黒板の前で日本の情勢について長々と話す社会の先生に目を向けた。
私はこの時、勝手に思い込んでた。
誰もそんな事、一言もゆってないのに。
誰も、桃香から告ったなんて
一言も言ってないのに。