心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー
「あぁ。別、今日は一緒帰んねーから」
「…ふぅん」
当たり前のようにそう言う雅に、少し、イヤかなり胸が痛む。
「………」
「………」
沈黙が2人を包む。
ほんと、何しに残ったのよ。こいつ。
私の隣で黄昏るために残ったのか。
っていうか、深紅はまだ?
また先生に喧嘩売ってんじゃないよね?
そう思って、すぐ納得してしまう。
絶対そうだ。
……あぁ。最悪だ。
また面倒くさくなる……。
そうひとり悲観に暮れていると、隣から声がした。
「あのさ」
「……うん?」
雅は前を向いたまま話す。
「お前、この頃俺を避けてるっしょ」
「――…」
「俺、何かした?」
…なんで。
なんで、そんな寂しそうな顔すんのよ。
私は胸が苦しくなって、俯く。
「なぁ?」
「―――――……でしょ」
「ん?」
「彼女、いるんでしよ。…だったら、私が雅と仲良くしたら迷惑じゃん」
そう言うと、雅は一瞬目を大きく開いて、それからふっと微笑んだ。
「バーカ」
「………」
「んなわけないじゃん」
嬉しすぎて、涙が出そうだった。