【短編集】闇に潜む影
第5話:The Blue Bird
私は、孤児院で暮らす高校生。
父親の顔は知らない。
写真ですらも、見たことはない。
母親は今、私を虐待した罪で、刑務所に入っている。
まぶたを閉じて思い出す母親は、いつも怒鳴っていて、
鬼のような形相で私を睨み付けている。
会いたいとは思わないし、母親も私に会いたいとは思わないだろう。
仮に思うのであれば、それはきっと金を無心してくるとか、
そういうことだろうし、
それ以上何かを求められることは有りえなかった。
私を捨てた彼女にとって、赤の他人の男の方が必要だったのだから。