【短編集】闇に潜む影
真っ白な、――そう言って良いのかすら分からないのだが――服に身を包み、


男か女かも分からない顔をしている、黄金色の髪を持つ“天使”は、


何度も何度も同じことを説明してくれた。


だけど、――言葉の意味それ自体は分かるものの――その趣旨が全く分からなかった。


「だから、キミは死んだんだって。


うーん。事故で死んだ人ってこれだから大変なんだよねぇ」


「・・・事故?」


「そう、事故。キミはトラックに轢かれて死んだんだよ」


「・・・嘘だ」


「嘘じゃないさ。今日の僕の予定表にはキミの名前が書かれているから」


“天使”はそう言うと、いつの間にかその手に再び白い紙を持っていた。


「うん。帰還業務依頼書にも書かれているよ。


古田耕一、高校1年生。


本日午後10時15分、○○町△△番地でトラックに轢かれて死亡する予定」




全身が、一瞬にして冷たくなっていくような、そんな感覚に襲われた。




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