【短編集】闇に潜む影
テレビの収録が終わった。
適当に笑顔を振りまいてから、私はスタジオを後にした。
廊下を歩いていると、突然誰かが私の手首を握ってきた。
驚いて振り向くと、それは。
「久しぶりに再会したのだから、少しだけ、喋らない?」
キラキラと輝く笑顔で、私を見つめる彼女だった。
彼女の大きな瞳に映る私は、あの時の私に似ていた。
いや、あの時の私の顔そのものかもしれない。
「・・・何を喋るというの?」
私はその場で彼女を思い切り睨み付ける。
精一杯の、恨みを込めて。
「昔の話よ」
そう呟いて、彼女は笑った。