【短編集】闇に潜む影



上に立つべき人間は、それ相応のモノを持っていないといけない。


だから、私は買い続けた。


洋服。


靴。


鞄。


小物。


化粧品。


すべて、高級品を。






だから、お金が必要だった。






だから、私は働いた。



働かざるを得なかった。



借金を、返すために。





「・・・あ・・・あ・・・」



額から、汗が流れる。


首がべたべたとして、熱い。


まだ、季節は冬だというのに。


全部、知っているんだ、この女は。


それを知って。
それを知っていて、私に声をかけるなんて。


「それじゃあね。せいぜい今日のギャラで少しでも贅沢な生活でも送れると良いわね」


そう言って彼女は私に背を向けた。


胸の中の青白い炎が、更に燃え上がり、私の胸を焦がし始めた。


許せない。
許せない。
許せない。


この女、許せない!






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