【短編集】闇に潜む影
誰もいない部屋で、僕はベッドにくるまって一人、考え込んでいた。
どうすれば彼女を救えるのか、を。
彼女の幸せの為に、楽園に戻してあげなければ。
蛇の誘惑に惑わされる彼女を、一刻も救い出さなければならないんだ。
僕は、アダムと違う。
イブを救い出す方法は必ずあるはずだ。
ベッドから出ると、既に時刻は夕方の4時を回っていた。
いつもの彼女なら、とっくに学校から自宅へ帰っているはずだ。
僕は、窓の外を眺めていた。
そして、ふと、ある方法を思いつく。
根本的で、一挙的解決が可能な、唯一の方法を。
僕はそのままベッドから出て荷物を持ち、家を出た。
ただひたすら真っ直ぐ、彼女のいる場所へ。