【短編集】闇に潜む影
「・・・あはは。良かったぁ」
僕は笑っていた。
ふと視界に入った僕の両手は、蛇の血で汚れていた。
人間のふりをしていたから、血は赤いんだね。
「まったく、・・・ずる賢い蛇らしいね。ここまで徹底するなんて」
僕は、彼女に微笑んだ。
もう心配する必要はないから。
誰も、君を惑わしたりなんかしない。
「やっと、やっと・・・楽園に戻れる」
今まで、こんな穏やかな気持ちになれたことはあったのだろうか。
これでやっと彼女が楽園に戻ってこられる。
永遠に、僕と一緒に、幸せになれるんだ―。
この永遠の楽園で。