夏に溺れかけた恋

ナレーション「その日の室田は、遠慮しなが

ナレーション「その日の室田は、遠慮しながら傘を借りて、スーパーマーケットを後にした。」
注釈(場面は変わり、アミューズメント・パークの入り口から、大勢の子供たちの歓声が聞えている。アイスクリーム・ショップの店員がソフトクリームを作り、お客にそれを手渡す。ショップ店員もお客も、手だけで顔は見えない。)
店員「バニラ・ソフトクリーム3つ、でき上りました。」
注釈(お客が品物を受け取ると、ショップ店を出る。小走りに駆けて行くお客の顔は、フミヨだった。)
フミヨ「ワー、楽しそうだなぁ、どこに居るのかなぁ・・・・あっ見つけた!」
室田「オーイ、こっちだヨー!」
マナミ「遅かったじゃない、もう随分待ったのよ。」
フミヨ「はい、ソフト!そんなに言ったって混んでいたから、仕方ないモーン。」
室田「ありがとう。さあどれに乗る?」
フミヨ・マナミ「もちろん!あれ!!」
注釈(フミヨとマナミは声を合わせて、背の高い絶叫マシンを指差した。)
室田「えっ、あれ、俺ちょっと用事があったような・・・」
マナミ「どうしたの、怖いの?」
室田「怖い?とんでもない。」
フミヨ「それじゃ」
マナミ「行こう。やっぱり男よねぇ。」
注釈(室田がコソコソ逃げ出すのを、フミヨとマナミは彼の両腕を掴んで、無理やり連れて行った。)
室田「え、あ、ああ、やさしくしてね。」
注釈(帰りの時間になって、三人は室田の白いライトバンに乗り込み、室田は運転席に後の席にはフミヨとマナミが座った。)
(バタン、ブォーンブォーン)
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