夏に溺れかけた恋

ナレーション「3人で過ごした楽しい筈の時間

ナレーション「3人で過ごした楽しい筈の時間が、フミヨには物足りなくさえ感じた。栗矢の事になると、自分を押さえ切れなくなるのは何故なのか。恋を感じるには、ちょうどいい季節なのに、もう夏はとっくに来ているのに、なぜかフミヨの心は、まだ春が来たばかりだった。」

注釈(場面は変わり。その日の夕方、居酒屋の前で、栗矢と室田は鉢合せになった。)
栗矢「アイタタッ痛いよ!何をする!」
室田「おまえ、俺に隠していただろう!」
栗矢「なんの事だよ、それより痛い!」
注釈(室田は突然に、栗矢の体を羽交い締めにして、ママよう子の居酒屋に入るのを遮った。)
室田「おまえ、彼女が出来たらしいじゃないか、よくも隠していたな。そこのところを、ヨーク聞いてやる。」
栗矢「何のことだ、とにかく離せよ!」
室田「いやそのまま、中に入ろう。」
注釈(栗矢は、室田に羽交い締めにされながら店に入ろうとした時、オートバイが二人に突っ込んできた。二人ともそのマシンに引っかけられて、吹っ飛んでしまった。救急車のサイレンが鳴り、救急車が走り去る場面になる。そして病院の玄関から手に包帯を巻いた栗矢が出てくる。)
(チリンチリン)居酒屋の扉が開く音
栗矢「やぁ」
ママよう子「大丈夫?骨折したの?」
栗矢「大した事無いよ、打撲と擦り傷だ」
ママよう子「そうなの、大した事は無かったのね。」
栗矢「室田の方はどうだった?」
ママよう子「こっちは、尻餅をついただけなのに、ものすごく痛がっている。」
ヒロミ「全くオーバーなのよ!」
(バン)
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