夏に溺れかけた恋
『8月、中旬、栗矢の秘密』
注釈(場面は8月中旬の駅に変わる。)
ナレーション「暑かった夏も、お盆が過ぎて里帰りから帰って来る栗矢を、フミヨは駅に迎えに出かけた。」
駅員の放送「ホームに列車が入ります。」
注釈(列車から降りて、プラットホームから改札出口に向かう栗矢を、フミヨが迎える。出迎え客が少ないので、栗矢は早くからフミヨの姿を見つけていたが、フミヨは改札出口から降りて来る大勢の人達から、なかなか栗矢を見つけられないでいた。栗矢は静かに改札口を出て、フミヨに気づかれ無いように、そっと彼女の後ろへ回った。)
栗矢「富美ちゃん!僕はここだよ!」
注釈(脅かそうと彼女の肩に手をかけた。)
栗矢「あっ間違えました、すみません。」
注釈(振り返ったのは、全く見ず知らずの人だった。)
フミヨ「こらっ!また知らない女の人に声かけて、これだから男は信用おけないのよ。プンプン」
栗矢「えっ、誤解だよ、これには深い事情が有る訳で!」
フミヨ「ジジョウも、3ジョウも無いものだわ!!せっかく迎えに来てやったのに、この浮気者!!」
注釈(フミヨは栗矢の腕を掴むと、たて続けに罵声を浴びせた。そして勝手に歩きだしたが、栗矢袖を掴んだままだから栗矢は引きずられるままに、フミヨの後を栗矢が必死に追う。)
親子連れ「わっ、危ない」



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