夏に溺れかけた恋

栗矢「だいじょうぶですか？」

栗矢「だいじょうぶですか？」
注釈（フミヨのあまりの勢いに、幼い子を連れた母子連れにぶつかりそうになり、栗矢がとっさに謝った。）
フミヨ「今度は不倫を狙うの！全く！！」
栗矢「違うよ。なんだい、いったい。」
注釈（フミヨの勢いに、通りがかりのお婆さんがあきれた顔をすると、栗矢はそれにも会釈する。）
フミヨ「まぁっ、まったく年上にも色目使って、女だったら誰でも声を掛けて！！」
栗矢「痛テテェー」
注釈（今度は栗矢の耳をフミヨは摘んで引っ張って歩く。）
フミヨ「本当に！」
栗矢「あれはお年寄りじゃないか。イテーいったい何だ！ヒステリーに付き合っていられるか！いい加減にしてくれ。」
注釈（フミヨの手を振り払って、今度は栗矢が怒って先へ歩いて行くが、その後をフミヨは追いかけないで、栗矢とは反対の方向に歩いて行く。）
フミヨ「むっ・・ふん・・・」
注釈（居酒屋の前に栗矢がたどりつくと、反対側からフミヨが現れる。黙って二人は店の扉を勢いよく開いて中に入った。）
栗矢「何だよ、お前・・」
フミヨ「今日はバイトよ！」
（ガタガタ、チリン、ガタン）ドアの鈴が外れて床に落ちる音。
ヒロミ「トビラが壊れちゃうよ、どうしたの喧嘩でもしたの？」
注釈（ヒロミが言うと、栗矢とフミヨはお互いに顔をニラミつけて、あろう事か二人は相手の右頬を、思いきり抓った。）
フミヨ「ウウウーウワアッ！」
栗矢「ワウワウ、ワガワガフナァ！」
ママよう子「あら、お帰りなさい、どうしたの？」
フミヨ「ワァーン」
注釈（とうとうフミヨは、泣き出して奥へ引っ込んでしまった。）
ママよう子「いったいどうしたのよ！」
ヒロミ「ママッ」